藤坪憲雄氏の開発秘話
<技術開発編>
これまでにない消臭繊維製品をつくる!
セーレン株式会社
研究開発センター副センター長 兼 商品開発第2グループ長
これまでにない消臭繊維製品をつくる!
『イノドールクイック瞬感消臭』の開発は、腸内細菌が作り出すガス成分の研究で知られる
広島大学病院の大毛宏喜先生の提案からはじまった。「消臭する布を作って欲しい」という大毛先生の真剣で熱い気持に、当社の研究開発センター副センター長の藤坪憲雄は感銘を受け、共同開発が始まった。
ハードルの高かった技術開発
当社開発スタッフは、大毛先生と共同で消臭機能を評価する技術の開発をスタートした。しかし、これまでにない消臭機能を開発するハードルは予想以上に高いものだった。
始めに、活性炭を使って消臭機能を重視した製品を作ってみた。しかし、活性炭を使うと生地の色は黒くなってしまう。これでは、下着を作るのには適さない。
ついに新技術を開発!
1年半ほど試行錯誤をくり返したある日、開発スタッフの1人がある要素技術を提案した。それは活性炭を布に付着させるのではなく、活性炭と同様の機能を持つ
多孔質の微小セラミックス粒子を繊維の分子のすき間に入れ込む技術。粒子の直径を500~800ナノメートルに制御することで実現するもので、
最新のナノテクノロジー技術の応用だった。
早速実際に製品を作って検証を開始。すると、セラミックスの応用により布の色は白く、肌触りもよくなった。そしてなんと、
臭いの吸着能力も活性炭より数倍も高くなったのだ!活性炭の場合は活性炭を布に付着させる糊が微小孔を一部ふさいでしまっていたのだが、新しい技術では、糊を使わずに
繊維のすきまに入れ込むので、多孔質セラミックスの能力をフルに活かすことができたのだ。
これでゴールは見えたと思ったが・・・
新技術を開発し、ゴールが近づいてきたように思えた。しかし、それはセーレンの開発チームにとっては出発点にすぎなかった。消臭技術こそ実現したものの、
人々の悩みを解決するための着心地のよい商品をつくるには、まだ課題は山積みだった。